展覧会レポート

2022

第5回金沢・世界工芸トリエンナーレ
公募展「2022金沢・世界工芸コンペティション」
企画展「工芸が想像するもの」

会期:2022年11月13日 ~ 11月30日
会場:金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA、B

アーティスト数: 85 組

来場者数: 23,413 人

第5回金沢・世界工芸トリエンナーレ会場


「第5回金沢・世界工芸トリエンナーレ」は「工芸が想像するもの」をテーマに、公募展と企画展で構成されます。公募展では、時代とともに変化し拡がる工芸芸術を世界的視野で捉え、表現力と想像力に富む新しい工芸作品を紹介します。企画展では、国立工芸館、石川県立美術館、金沢21世紀美術館の収蔵作品を一堂に集めるとともに、ロエベファンデーションクラフトプライズ2022の受賞作品を加え、多彩な表情を紹介します。工芸の素材と技術の特徴が発揮された作品を鑑賞することで、想像される表現の拡がりや、新しい可能性を見い出します。



公募展「2022 金沢・世界工芸コンペティション」

大賞:田中里姫

準大賞:津守秀憲

審査員特別賞:加藤貢介, アネク・クライン, 豊海健太

次世代賞:井掛紗百合, 外山和洋

入選:
淺田浩道, 詹凱婷, 陳恂浪, 江郁航, アガタ・チェホムスカ, マテオ・クレマデス, 藤掛幸智, 藤田和, 謝毅弘, 井川彩子, 張慶南, 菊池俊治, キム・ヨンヒョン, 久野彩子, 草間喆雄, 馬高賢, 光本岳士, 望月美鶴, 籾山明子, 長井未来, 中井波花, 奈良祐希, 西川雅典, 野口健, 布下翔碁, 岡本昌子, 大谷佳那子, 邱嘉文, 饒舜, 坂井天心, 佐藤静恵, 瀬津純司, 志観寺愛, プンイサ・シンラパラツァミー, 惣田司, 高橋桃子, タカハシノリコ, 竹岡健輔, 舘正明, 富永一真, 上前功夫, 植松竹邑, セリーン・ファーゼン, 亘章吾, ロッテ・ヴェストファール, 王亞韋, 顔冬虹, 葉秀薇, 横山慎也, 曾祥軒, 張石臨


審査員:
イゾベル・デニス(英国)コレクト フェアディレクター(英国クラフト・カウンシル)
モニカ・ビンチク(米国)メトロポリタン美術館アジア美術部 日本工芸ダイアン・アンド・アーサー・アビー・アソシエイト・キュレーター
チョ・ヘヨン(韓国)統営国際トリエンナーレキュレーター、国際陶芸アカデミー(IAC)会員
林曼麗(台湾)財団法人国家文化芸術基金会 理事長、国立台北教育大学 名誉教授、元国立故宮博物院 院長
唐澤昌宏(日本)国立工芸館長
青柳正規(日本)石川県立美術館長、多摩美術大学 理事長、元文化庁長官
長谷川祐子(日本)金沢21世紀美術館 館長、東京藝術大学大学院 国際芸術創造研究科 教授
大樋陶冶斎陶芸家、文化勲章受章者、日本芸術院会員
中川衛(日本)金工作家、重要無形文化財 「彫金」保持者



企画展「工芸が想像するもの」

工芸が想像するもの

 金沢・世界工芸トリエンナーレが5回目の開催を迎える。前回のトリエンナーレから3年が経ち、その間に世の中は大きく変化した。今この複雑で困難な時代に、本トリエンナーレを開催する意義を問い直した。これまでの「工芸」を見つめ直し、受け止め、そして今後の「工芸」の姿を想像するような機会になってはくれないか。今回のテーマ「工芸が想像するもの」には、そうした願いを込めた。
 新しい委員を迎えたこの企画委員会のメンバーで、今、そして次世代のための取り組みと、工芸が持つ可能性について議論を重ねた。
 公募展では、国や地域を越えた往来が困難な状況に対応するため、オンライン審査を採用した。1次審査は画像による審査が行われた。本審査では、作品が置かれた現地会場を3Dスキャンしたヴァーチャル空間を海外にいる審査員と共有し、オンラインで議論し受賞作品を決定した。また、35歳未満を対象とした「次世代賞」を新たに創設した。
 企画展では、国立工芸館、石川県立美術館、金沢21世紀美術館の収蔵作品を展示する。国立工芸館は、2020年の石川移転・開館記念事業として行われたクラウドファンディングで制作された12名の茶の湯のうつわを、茶室と共に紹介する。石川県立美術館は、金沢蒔絵と輪島塗の作家による作品、師弟関係にある作家の象嵌作品、そして染色作家の異なる形態の友禅作品をそれぞれ対で展示し、地域文化と工芸とのかかわりについて展開する。金沢21世紀美術館は、これからの時代を感じる多様な作品をみせる。
 さらに、優れたクラフトマンシップと創造性を称える国際的な賞であるロエベ財団クラフトプライズから、2022年の大賞と特別賞の受賞作品を展示する。工芸の価値を認め、支援活動を行うロエベ財団と、本展覧会を通じて交流を深められることを光栄に思う。
 工芸芸術は時代とともに変化し、また世界的視野から捉えることで一層の拡がりをみせている。表現力と想像力に富み、工芸の素材と技術の特徴が発揮された作品を鑑賞いただくことで、工芸分野の拡がりや表現の可能性について感じる機会となれば幸いである。

金沢・世界工芸トリエンナーレ企画委員会


参加アーティスト

国立工芸館

安藤源一郎, 三代畠春斎, 今泉毅, 津金日人夢, 松崎森平, 見附正康, 水口咲, 新里明士, 坂井直樹, 須田悦弘, 内田鋼一, 内田繁, 和田的

石川県立美術館

金丸水明, 小西啓介, 中川衛, 十代大樋長左衛門(陶冶斎), 高橋介州, 二代砺波宗斎

金沢21世紀美術館

マイケル・ブレナンド=ウッド, 伊藤孚, 上出惠悟, 桑田卓郎, 中村哲也

ロエベファンデーションクラフトプライズ2022

アンディル・ディヤルヴァーヌ, ダへー・ジョン, ユリア・オベマイア


イベント

金沢・世界工芸都市会議
公募展授賞式のほか、公募展審査員やゲストらによるトークイベントを実施。

日時:
2022年11月13日
会場:
金沢21世紀美術館 シアター21
出演:
イゾベル・デニス、 モニカ・ビンチク、 チョ・ヘヨン、 林曼麗、 唐澤昌宏、 青柳正規、中川衛(公募展審査員)
辻󠄀口博啓(パティシエ・ショコラティエ)
山村慎哉(金沢美術工芸大学 教授)
田中里姫(公募展大賞)
津守秀憲(公募展準大賞)
住吉美紀(フリーアナウンサー)

「金沢の工芸の今」展
多様な金沢の工芸を会場周辺のギャラリー・ショップで展示

会場および会期:
galleria PONTE 11月11日(金)‒ 11月27日(日)
Café&Gallery musée 11月12日(土)‒ 11月17日(木)
金澤水銀窟 11月11日(金)‒ 11月27日(日)
金沢・クラフト広坂 11月9日(水) ‒ 11月20日(日)


展覧会カタログ

第5回金沢・世界工芸トリエンナーレ
工芸が想像するもの
公募展「2022金沢・世界工芸コンペティション」
企画展「工芸が想像するもの」


定価3,000円(税込)

コンテンツ
公募展:2022金沢・世界工芸コンペティション
- 審査員評
- 出品者プロフィール
企画展:工芸が想像するもの
- コレクション別作品解説
- 出品リスト
トリエンナーレ論考

仕様:
185×297 mm
頁数:
96頁
言語:
日/英併記
編集:
金沢・世界工芸トリエンナーレ開催委員会、ナカダ株式会社齋藤雅宏宮越文美金谷亜祐美
翻訳:
ザッカリー・カプラン(和文英訳)宮越文美(英文和訳)
デザイン:
原嶋亮輔
発行:
金沢・世界工芸トリエンナーレ開催委員会
発行日:
2023年3月31日
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